第9回ジオコミュニケーションセミナー
熱ストレスの評価指標の気象学的検討
- 日時
- 2015年7月15日(水) 16:20-17:50
- 場所
- 香川大学 遠隔教育調査研究室 (幸町北キャンパス2号館2階)
- 講師
- 大橋唯太氏(岡山理科大学・気象学)
- 趣旨
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人が暑さを感じる際には、気温だけでなく、日射、湿度、風速、赤外放射などが
総合的に影響するものと考えられます。そこで、熱中症の危険を明らかにする必
要がある場合や、生気象の分野などでは、WBGTという指標が考案され、しばしば
利用されています。
しかし、この指標の観測には、黒球と呼ばれる特別な測器によって観測する黒球
温度という気象要素を用いる必要があります。そのため、この特別な測器がない
と指標の測定ができません。そのため、一般的に観測されるその他の気象要素か
らWBGTを推定することにより、これを代替指標とすることも試みられてきていま
す。ある種の指標は、WBGTとかなり相関の高いものとなりうることもわかってき
ました。
ところが一方で、こうして推定される代替指標や、WBGTそれ自身そもそもが果た
して例えば熱中症のリスクを正当に示しているのかどうか、にも疑問が投げかけ
られています。
気象学の立場からは必ずしもWBGTについて十分には検討されてこなかったことも
あり、この分野にはまだやるべきことがいろいろあります。
更に、局地的な気象と歴史や生活条件、健康、農業への影響といったことを検討
する際に適した指標とはどういうものか、検討します。